著者インタビュー

『銀座ミーティングーチームマネジメントと方程式ー』の著者 髙木久子氏インタビュー

髙木久子氏写真

著者インタビュー第1弾は、6月20日に発売された『銀座ミーティング‐チームマネジメントの方程式‐』の著者、髙木久子氏です。

後編は、気になる『ホステスの引退について』詳しく語っていただきます。

それでは、後編もお楽しみください。


駒草出版
ところでホステスの女性も歳をとりますよね。引退の時期っていつなんでしょう?
髙木久子
(チャコママ)
人それぞれ。
売上があれば、銀座で年齢なんて関係ない。
でも、この間、ひとり引退させたんです。
11年ベルベにいて、いいときは売上もよかったけれど、今、新しいお客さまが、その子を係にすると言わなくなった。
すっごく性格はいいんだけど、それはわたしたちの独りよがりでしかないの。
お客さまがぱっと来たときに、その子がつくと、
「歳はいってるし、タイプじゃないし、なんだよハズレかよ」
って言われるような子なの。
わたしは、必ず何年か後には経営者じゃなくなると思ってる。
それを長年いる側近の子やナンバーワンとも話したら、ママが経営者じゃなくなったら辞めたいと言う。それぞれがもういい歳だからっていうのもあるけれど。
だから、その子に「今から一生、これで食べていけるというものを探しなさい」と言ったの。
彼女は密かに1年間、スポーツインストラクターの免許を取りに学校に通って、加圧のトレーナーの免許を取った。今度はアメリカの免許を何年かがかりで取得して、その世界でボスになれるように着々と階段をのぼっている。
朝方、ソファで酔っ払って寝てたらその子からメールが入ったの。

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 ママへ
 おはようございます。改めて11年間ありがとうございました。
早いもので銀座を卒業してもう6日が経ちました。
昨日は卒業してから始めての休日でしたが、パソコン教室でお勉強でした。何かと労働時間も長くて大変なのですが、夜のお仕事とは違った充実感を感じて過ごしている日々です。お弁当をつくったり、満員電車も時間をいろいろずらしてみては、どの時間が最適か研究しています。
早くまともな感覚に慣れるように努力しなくてはなりませんね。
 そんな気持ちになれたのもすべてママのお陰です。ベルベに入ってまったく貢献できない日々を救ってくれたのも、道に迷った時に正してくれたのも、全部ママのお陰です。岐路に立った時、すべて行く道を指導してくださったのは全部ママです。
本当にすべて正しい道でした。
 ママに取り入ることもなく、本当に目立たなく、どうでもいい私に、風紀委員という役職をくださったことで、ベルベでの威厳を保つこともできました。まだまだママとみんなと笑って過ごしたかったのは事実です。でも、ママが教えてくれたように、目の前のチャンスはつかまなくてはならないし、私の夢でしたし、この選択に後悔はありません。実際働き始めて何かと大変ではありますが、ママが指導してくださったことすべてが、今の私の自信でもありますし、仕事への姿勢を保たせさせてくれています。
きっと3年後には、次の夢を叶えている自信もあります。
 こんな思いを強く持てるのも、ベルベでの11年間があるからです。そして、ママの背中を見てきたからです。ママ、本当に感謝しています。ママ、いつも一緒にいてくれてありがとうございました。ママは今までもこれからも変わらずずっと大好きですよ。
ママのことを心配したらキリがないけど、本当に身体だけは気をつけてくださいね。
落ち着いたらまた女子会しましょうね。ではまた連絡させていただきます。
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今朝たまたまこのメールが入ってきて、読んでて涙出そうになっちゃった。
寿退社はずいぶんいるんだけど、ね。つまり、お店を点々とすることなくうちで最後の子がたくさんいるの。
駒草
結婚して、3、4年後に戻るケースもあるんですか?
髙木さん
ベルベから地方にチーママで行った子は、反対してたんだけど、お嫁にいって、また戻ってきた。その子は両親もいないから、わたしが親代わりみたいなものだし。
銀座で3本の指に入る別嬪さんだったと思う。あの当時も、今もきれい。
ただ、結婚していればいいけど、まだ愛人生活のままで、そこから戻ってくることもある。
でも、そのときにいい歳だと、やっぱり残酷ね。
駒草
チャコママのようにきちんと「自分の道を探しなさい」と言ってくれるお店はいいですけど、ただずっと働き続けちゃったっていう子の方が多いんじゃないですか?
髙木さん
そうね、熱い気持ちとか、愛とか、今は見えづらいかもしれない。
でもわたしは、人のことに関してはぴったり当たるようなことをピシッと言えるの。
自分のことは丸っきりダメだけど。
人を幸せにする自信はあるけれど、残念ながら自分が幸せになる自信はないの。
駒草
結婚するにしても、一緒にいるにしても、無駄話のできる女性は大切ですね。
髙木さん
先日同伴したお客さまが、日本酒を飲んでべろべろになりながら、
「おまえさぁ、つまみになる女じゃないとダメなんだよ」って。
「要するに、銀座がそうだろ。食べに行くんじゃなくて、飲みに行くんだから。女の顔をつまみにして飲みに来るわけだろ」って。
あぁいいこと言うなぁと思ったの。
「じゃあ女房も『妻を見る』っていうことでつまみなの?」なんて話したりして。
でも、本当にその通りなの。
「ベルベは景色がいいね。いい女が揃ってるね」とどんなお客さまにも言わせたいもの。
駒草
すてきな女性が多いと、男性も積極的になり過ぎてしまいませんか?
VERBEの看板写真
髙木さん
今は、お客さまも効率よく考えているみたい。
ある一時期は、秘密のクラブに通って、女子大生やモデルの卵を呼んで、お小遣い数万円で、適当に飲み食いしていいからと言って出会いの場をつくる。そして、いくらでひと晩を過ごすか交渉して、数十万円で持ち帰る。
勝手にそうするぶんには構わないし、昔は銀座もお店が「いくらでどうぞ」と用意した特攻隊がいたらしいけれど、今はない。
以前お客さまに頼まれたこともある。
銀座にそういう勘違いをしてやってくるお客さまもいる。
けれど、ベルベではそういうことはしない。
そうじゃなくても、女衒のような仕事をしているのに、本当の女衒にはなりたくないから。

色気があって銀座だけれども、仕事のために寝る女は好きになれない。
もちろんセックスが好きな子もいるし、考え方は人それぞれだけど、わたしはそれを認めない。それじゃあ高級コールガールと一緒になっちゃうでしょ。
売上を上げたいというのはわかるけど、その人が来なくなったら後悔しないのかなと思ってしまう。
自分の身体だからいいじゃない、と言われればそうなんだけど。
教養があって、いろんなことを啓発してもらえて、決して寝ない。高嶺の花。
それが銀座のトップの女。
駒草
銀座のホステスが惚れやすい、いいお客さまだと思うタイプは?
髙木さん
口説かない人。お金払いがいい人。察しのいい人。
その三つ。
銀座をよく知っている人は、たいてい察しがいい。
へんに口説かないし、話していて楽しいし、帰りの車代もくれて、あわよくば今度同伴してもらおうと思っちゃう。
よくお客さまに、どうやったら銀座でモテるのか聞かれるけど、そんなのは簡単。
口説かなければ絶対モテる。口説かずにシャンパンを開けていれば、「彼女いるんですか?」
って相手から聞かれるもの。
とても賢いやり方だと思う。
駒草
銀座ではそういう話をママ同士でしたりもするんですか。
髙木さん
わたしの親友のエリコママは、わたしのことはなんでも知ってる。
ベルベに来たときに人に紹介されたから、もう23年のつき合いになる。
同じ歳で、同じAB型で、商人の娘。
彼女とわたしは生き方が違くて、考え方の違いでもよくケンカするの。
でもね、わたしの一番のファンはエリコ。 そして、わたしが困ったときにはいつでも手を差し伸べてくれる。
駒草
銀座でママ同士で仲がいいという関係は不思議な感じがしますね。
常にライバル関係のようなイメージを持ってしまいますが。
髙木さん
生き方が違うのが一番のポイントかもしれない。
エリコは雇われママをずっとやってるけど、彼女は雇われママのままがいい人。
「オーナーママなんてとうていできない。チャコは大変ね」とあっけらかんと言うくらい。
エリコとは仕事を通して仲がいいというわけじゃなく、プライベートで親友だから、お互いあまり感じないのかもしれない。
駒草
じゃあ、ストレス発散はエリコさんとですか?
髙木さん
そうね。本当にくだらない話をふたりでしたり――。
でも、ストレスといえば、銀座に入った頃の方が多かったのかな。
当時は、ゴトウのオバサンっていう65歳くらいの人がお手伝いさんできてくれて、本当に長い間お世話になった。
子どもが幼稚園の終わりくらいのときで、自分の孫以上にうちの娘をかわいがってくれて、いつもふたりでふざけてるの。
当時は夜一本にしていたのに、ストレスだったんでしょうね。お客さまとのアフターのあと、絶対にまた女の子と飲みに行って、朝まで飲んだくれて、それから家に帰ってきてた。何やってるんだろうと思いながら、ずいぶん無駄酒を飲んでた。
何かから解放されたいっていう気持ちが強かったのかな。
その時期に家にいて子どもの面倒を見てくれた人だったから、子どもにさみしい思いはさせたかもしれないけれど、あの人が一番だった。
今いろんな人を助けたりしているのは、今はもう会えない昔助けてもらった人に対してのお返しだと思っているの。お金がなかったときは、本当にいろんな人に助けられたから。
駒草
髙木さん、今回は長時間ありがとうございました。
本当に愛情あふれるお話しばかりで勉強になりました。
最後に、初の書き下ろし『銀座ミーティング』出版に当たり、ひと言よろしいでしょうか?
髙木さん
誰だって経済的に、精神的に、肉体的につらい時があります。
昔の人は「苦労は買ってでもしろ!」と言います。
今、この時代、本当に底を見ていないで苦しいと言う人が多いような気がします。 祖父母、父母たちの戦争中の生活や苦労を考えたら、現代人がどれほど甘いかです。 わたしはお年寄りや苦労人のお話しを聞くのが大好きなんです。自分を取り巻く環境がいかにまだまだ恵まれているかを改めて考えられるからでしょう。
いじめや自殺という現象が起こるのは、人の痛みや命の大切さがわからないからといっても過言ではないでしょう。
自分の精神を磨き、弱者を助けるうちに、自分が強くなっていく。
友人をつくることも人生のなかでとても難しいと思う。友人って何だろうと考える時もあるけれど、わたしはベルベの仲間とお客さまが、友人、仲間のうちのほとんどと言っていいでしょう。
人には甘く、自分には厳しくありたい。そうしているうちに自然と気持ちのいい仲間が増えていくと信じています。これからも尊敬される、愛のある上司でいたいです。
部下に尊敬されていない世の中の企業のトップの方々も、部下の声だと思って読んでいただきたいです。もちろん、社会人の方々にも上司に愛される部下になるために、異次元の世界の事と思わずに、自分自身と重ねてこの『銀座ミーティング』を読んでいただきたいです。





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